

RAID システムの性能を正確にテストしようと思えば、 PCI-X インターフェイスがあるサーバ/ワークステーションシステムを構築するのが当然ですが、今回はデスクトップシステムにRAIDを構築することを目的とするので RAID搭載の一般的なメインボードでシステムを構成しました。
| 項目 | テストシステム |
|---|---|
| CPU | Intel Core 2 Duo E6300 (1.86GHz) |
| メインボード | ASUS P5K Premium (Intel P35 + ICH9R) |
| メモリ | Kingston DDR2-1066 2GB (1GBx2) |
| HDD | Seagate Barracuda 7200.9 120GB (SATA) Seagate Barracuda 7200.10 750GB x4 (SATA) |
| RAID コントローラ | Intel ICH9R RAIDコントローラ Adaptec ASR-3405 SAS RAID コントローラ Coyote Black SATA II RAID 4ch コントローラ |
| パーワー | 750W |
| OS | Windows Vista UltimateK 64bit |
| ドライブ | Intel Chipset S/W Utility v8.4.0.1016 Adaptec SAS RAID 3405 Driver v5.20.15317 Silicon Image 3124 RAID Driver 1.2.13.0 |
しかし、ハードウェア方式の RAIDコントローラカードAdaptec ASR-3405が PCI Express x4 インターフェイスで作られています。メインボードで PCI Express x4 スロットをサポートしなければならなかったので、グラフィックカードスロット以外2番目のスロットで PCI Express x4 帯域幅をサポートする P35 メインボード ASUS P5K Premiumを使いました。 Coyote Black SATA II 4ch RAID コントローラは 32bit PCIと PCI-Xを同時にサポートしますが、今回のテストでは普及型 PCI(32bit) RAIDカードを代わりに使いましたので、PCIスロットテストだけを行います。
OSをウィンドウズビスタ 64bitにしたことは、ウィンドウズXPやビスタ32bitでは2TB以上の単体ドライブが使用できず、パーティションを分けなければならなかったためです。テスト用ハードディスクはSeagate Barracuda 7200.10 750GB 4つを使いました。

まず、ハードディスクレビューでよく使われる簡単なプログラム HD Tune 2.54で RAID 構成別性能差を調べました。

HD Tune 2.54はハードディスクの転送率、アクセスタイム、バースト転送率、CPU 使用率を調べることができます。バースト転送率(Burst Rate)は RAID 構成と関係なくほとんど一定するのでテスト結果には平均転送率とアクセスタイム、CPU使用率だけをみます。

(Average Transfer Rateは高いほど、 Access Timeと CPU Usageは低いほど良い。) Adaptec ASR-3405 4ch RAID コントローラカードを利用しテストした結果、 4つのハードディスクをRAID0構成した時の性能とアクセスタイムが一番良かったです。ただ、4つのハードディスクを同時にストライピングモードで作動させるので CPU 使用率が 6.4%で一番高かったものの、コントローラカード自体が XOR プロセッサ及びキャッシュメモリーを支援するうえ、テストシステムの CPUが Core 2 Duo E6300の高性能だったので、大きな支障はありませんでした。
ストライピング方式にParity情報を別途保存するRAID5構成は、ハードディスクが4つの場合はRAID 0x3、そして3つで構成した場合、RAID 0x2の性能とほとんど同じで RAID 0からハードディスクを1つずつ抜いた時と似ていました。ストライピングとミラーリングを交ぜた RAID10はRAID0x2よりは良い性能を見せました。ハードディスク 2つをミラーリングで構成した RAID1もシングルハードディッスクよりは転送率が高かったです。(ただ,RAID 1の速度が高かったのは、ハードウェア RAIDコントローラである Adaptec ASR-3405の特徴で、メインボードRAIDで構成する場合の結果には違いがあります。)

(Average Transfer Rateは高いほど、 Access Timeと CPU Usage低いほど良い。)
信頼性より性能を重視する RAID0にした場合、結果だけ見ればハードディスク数が増えるほど転送率が増加し、アクセスタイムは短くなりますが、その代わり CPU 使用率が増加することを確認できます。

ハードディスク1つと、4つで RAID 0,5,10を構成した場合、平均転送率と容量(Capacity)は、RAID 0の時に転送率が一番高く、RAIDで構成されたドライブも 750GBハードディスク4つの保存空間を全部使うことができます。ミラーリングとストライピングが混合する RAID 10は4つのハードディスクの半分だけが使用可能で、 RAID 5の場合3つの容量まで使用でき、性能は RAID 0と RAID10の中間位です。
IO Meter テストは元々インテルで作った IO 性能テストプログラムでしたが、インテルのオープンソースライセンス政策により、現在は IO Meter.orgでダウンロードすることができます。

IO Meterは設定方法によって、様々なテストができますが、今回のテストでは 32K サイズでの読み書きだけをテストました。

ところで 、IO Meter テストの結果 Adaptec ASR-3405で帯域幅が固定される結果が出ました。グラフの中 RAID 0の結果だけをみてみれば RAID 0x2の時の1秒当たりの総 I/Oの値が4817.6、総MB/sは150.55が出ました。一般に、RAID 0x3や RAID 0x4も同時に上がるのが普通ですが、結果を見るとハードディスク3つと4つで構成した RAID0の場合、性能が上がるのではなく決まった数値で固定されいることを確認することができます。これは実際帯域幅に制限があって RAID 0の結果がまともに出なかったということを意味します。
また、読み取り性能と書き込み性能が同じレベルのシングルハードディスクとは違い RAIDは構成方式に従って読み取りと書き込み速度の差が出ることがあります。

残りの項目である平均 I/O応答時間と最大 I/O応答時間、そして CPU 使用率を見ると、応答時間の方は速くなったものの RAID 0x4と RAID 0x3 の間の差が少なく CPU 使用率も似ているという点で RAID 0x4 ドライブが本来の性能を出せないのではないかと言う結論が出ました。
テストに使われた ASUS P5K Premium メインボードのほかにBIT IP35 Pro、X38 ボード MSI X38 Platinumでテストした結果も同じだったので、コントローラカードが実際 PCI Expres x4で作動していないことが確認されました。

インテル ICH9Rサウスブリッジチップセットを利用して、同じRAID構成で IO Meter テストを行った結果、Adaptec ASR-3405 RAIDコントローラでは本来の性能が発揮されなかった RAID 0x4,0x3、そしてRAID 5x4の性能が上がっています。PCI Express x4 インターフェイスで作動したらASR-3405コントローラもこのような結果を見せてくれたはずです。
4.32GB容量のイメージファイル1つといくつかのフォルダとファイルでできている3.42GBのデータをコピーするのにかかる時間を測定しました。

ファイルコピー時間をよく見ると、シングルハードディスクから RAIDドライブにデータをコピーする時は、シングルディスク性能に制約を受け、時間がまったく同じでした。しかし内部転送テスト結果を比べてみると各 RAID構成の間の性能差を確認することができました。
RAIDを構成しないシングルドライブの場合、外部転送と内部転送時間に差がほとんどありませんでした。むしろ、フォルダ/ファイル数が多い場合、外部転送よりもっと長い時間がかかりました。これはミラーリング方式で 2つのハードディスクに同じ内容を記録する RAID 1x2 構成も同じでした。しかし、ストライピングでは、内部転送の時が外部転送時間より格段に速かったです。4つのハードディスクをストライピングで構成した RAID 0x4の場合はファイル転送で、シングルハードディスクの時より 4倍近く速くなりました。

1秒当たりのファイル転送率をみてみると、単一ファイルの時と複数ファイルの時の結果は時間の差があるだけで、グラフの型は同じです。シングルドライブでそれぞれ 33.5MB/s,25.5MB/sだったデータ転送率は RAID 0x4では4倍になりました。HD tune 2.54 テストの時のように RAID 5 構成はハードディスク 1つずつを抜いた RAID 0の性能と似ていました。ミラーリングだけの RAID 1x2もシングルハードディスクより転送率が高く信頼性だけでなくある程度までの性能向上が見られました。(RAID 1x2 モード性能向上は Adaptec ASR-3405と係わることで一般的なRAID1x2ですべて同じ結果が出ることを保障するものではありません。)
HD Tuneと実際ファイル転送速度をテストした結果 IO Meter グラフのように RAID 0x3,0x4の性能が制限されることはありませんでした。今回のテスト方法が PCI Express x4 帯域幅をすべて必要とするものではないので、帯域幅に持続的な負荷がかかる状況で RAID 0x3,0x4 構成に性能制限がかかるかは確認することができませんでした。